神様は海からやってくる!?
~年頭の挨拶に代えて

山本 徹

一般社団法人海洋文化創造フォーラム

代表理事

2025.01.01

新年、明けましておめでとうございます。
皆様におかれましては輝かしい新年をお迎えのこととお喜び申し上げます。
また、旧年中は一般社団法人海洋文化創造フォーラムの活動に深いご理解とご協力を賜り厚く御礼申し上げます。

さて、この度、本サイトに「コラム」コーナーを開設しました。理事がもちまわりで執筆します。当社団の設立目的のひとつでもある、「全国に点在する歴史、産業、文芸、民芸等の海洋文化資産に関する発信」の一環となるよう、取り組んでいきたいと考えています。

記念すべき第一回は、僭越ながら私、代表理事の山本が担当します。
「食文化を通じた、海のまちの地域活性化」の取り組み事例と、”神様は海からやってくる”神秘的な神社を紹介させてください。

私は数年前から、高知県須崎市と高知信用金庫が地元の皆さんと共に進める「須崎市海のまちプロジェクト」のお手伝いをしています。

須崎市はかつて、山間でとれる木材や石灰石、セメントの積み出し港として大いに栄えた商業都市でした。時は流れ、物流システムが水運から鉄路へ、更にトラック輸送へと変わるにつれ物流拠点としての須崎は徐々に元気を失ってしまいました。

そんな中、須崎市で産声を上げた金融機関・高知信用金庫の100周年記念プロジェクトの一つとして、“海のまち須崎に元気を取り戻そう!”という活動が始まりました。

実は、須崎は「魚がおいしいまち」「旬の魚が一年じゅうあるまち」として県内でも有名で、年間を通じて豊富な種類の魚が水揚げされています。高知市内でも須崎から魚を仕入れていることを売りにする飲食店があるほどで、県内外から食通が「須崎の魚」を食べに訪れています。

私が携わっているのは、『須﨑大漁堂』『須﨑のサカナ本舗』などのシンボリックな施設を作り、美味しい海の幸を提供することで、須崎市の良さを知っていただこう!という取り組みです。
例えば「須﨑のサカナ本舗」では、お刺身、海鮮丼、兜煮、焼き魚、串揚げなど須崎の美味しいお魚を使った料理が大好評で、それを目当てに県内外からいらっしゃるお客様に、合わせて、海と深く関わってきた須崎市の歴史や文化にも親しんでいただこうと情報発信をしています。

海から見える鳴無神社(写真提供:須崎市観光協会)

もうひとつ、須崎を訪れた知人を必ず案内している場所をご紹介します。須崎市の東側に深く入り込んだ「浦ノ内湾」の最奥部近くに立つ「鳴無神社(おとなしじんじゃ)」です。

海中から続く石段を登るとそのまま参道になっており、正面に海に向かって建てられた社殿があります。これには、海から上がってくる神様をお迎えする意味があるとされ、「土佐の宮島」と称されることも。海上安全を祈る地元の漁師さんに厚く信仰されているほか、縁結びの神様としても知られ、良縁を願う善男善女が市営の巡航船に乗って参拝に訪れています。湾の奥なので海面は鏡のように穏やかで、神秘的な静寂さを感じることができます。

この石段を通って、神様が海から…!(山本撮影)

詳しくは須崎市観光協会の情報をご覧ください。

ぜひ皆さん、機会があれば高知県須崎市に足をお運びください。

また、皆様の地元のお近くにある海洋文化資産に目を向けてみてください。新しい発見があるかもしれませんよ。

山本 徹

一般社団法人海洋文化創造フォーラム

代表理事